お腹いっぱい食べたいけど太りたくはないという欲望の矛盾はいつの時代も悩みの種です。
しかし、現代は研究が進んでいるので、たくさん食べても太りにくい食べ物にも納得のいく理屈がつくようになってきました。
「なんとなく痩せそう」とリンゴダイエットなどをして失敗した経験がある人も、恐れずに取り組める方法なので参考にしてみてはいかがでしょうか。
太らない人にはある法則があった!?
同じ物を同じだけ食べても痩せていられる人と太る人がいます。
その違いにはいくつもの理由があります。
また、太っていると思っていても実際は脂肪が多いわけではない人がいます。
太らない食べ物をチェックする前に、下記に該当しないかを確認しましょう。
・骨が太い、骨格が全体的に広め
・内臓が全体的に下がっている
・むくんでいる
・少ししか食べていないのに太る
骨太な人が理想的なスタイルを目指そうすると、痩せすぎになってしまうことがあるのでダイエットはおすすめできません。
内臓が全体的に下がってしまっている人は、お腹がぽっこりして見えますが太っているわけではないので、姿勢を正し、お腹や腰の筋肉をつけることで改善できます。
むくみがある場合は、血行不良などが要因となるため、ふくらはぎの筋肉を鍛えるなどの対処が必要です。
少ししか食べていないのに太ってしまう人は、気づかぬうちに間食しているわけでもない場合、エネルギーを消費しづらい体質です。
筋肉をつけることで体温をアップさせ、基礎代謝で消費するエネルギー量を増やすことで改善されます。
基礎代謝については後半で詳しく記載するので確認してみましょう。
太らない体質じゃなく、太らない食べ方に秘密があった
食べ方で改善できるのは「脂肪を蓄積しやすい人」です。
これには血糖とインスリンが大きく関係しています。
食事をすると、多かれ少なかれ血糖値が上がります。
血液の中の糖分の量の変化です。
これを体内に取り込まずに排泄する症状が糖尿病です。
糖尿病患者の治療でインスリン注射というのを聞いたことがないでしょうか。
インスリンは、すい臓で作られるホルモンで、血糖を取り込んでエネルギーとして使えるようにしたり、脂肪に合成して体内に蓄える働きをします。
インスリンがあまりに減ってしまうと、せっかく食べた糖もエネルギーに変換できず排出されてしまうので疲れやすくなったり、今まで蓄えた脂肪やたんぱく質をエネルギーに変えるしかなくなるので体重が減り、筋肉まで弱りはじめます。
そのため、インスリンは一定量は分泌されなければいけません。
しかし、過剰分泌されると太ります。
インスリンが多すぎると、必要以上に糖を取り込みますが、消費するエネルギーは変わらないので余ってしまい、仕方がないので脂肪として蓄積するからです。
このメカニズムに関連するのが食べ方の問題です。
空腹にガッツリしたものを入れて消化吸収すると、急激に血糖値が上がるため、すい臓がそれらを処理するためにインスリンを過剰分泌し始めます。
これによって、同じ量を食べてもインスリンが過剰でない人は太らず、過剰な人は太るという違いが出るのです。
しかし、食べ方さえ気を付ければ、血糖値の急激な上昇を抑えることができます。
そ結果的にインスリンの過剰分泌も避けられるということです。
それでは、どのような食べ方をしたら良いのか見てみましょう。
これで大丈夫!お腹いっぱい食べても太らない食べ方
食べれば必ず血糖値は上がりますが、急激に上がるのがいけないだけで、ゆるやかに上がるならインスリンの過剰分泌は避けられます。
そのポイントは食べる順番です。
その他、食べ過ぎを防ぐためには、ゆっくり食べること、よく噛むこと大切で、朝昼晩に食べるメニューに気を付ければ内臓への負荷の軽減もできます。
それぞれについて具体的にご紹介します。
1:食べる順番
摂取カロリーは同じだしお腹に入ればみんな一緒でしょ、と思っている人ほど食べる順番を意識してみましょう。
たしかに食べる順番を変えただけでは総摂取カロリーが変わることはありませんが、健康的な食べ方をすることで内臓への負担を軽減し、血糖値の上昇、インスリンの大量分泌も抑えることができます。
①汁物や酢の物
汁物は「これからご飯を食べていくよ」の合図です。
いきなり消化をフル稼働させなければならない物を空腹状態に放り込むと、内臓の動きを活発にするべく体温を急上昇させなければなりません。
汁物はあたたかく、消化もフル稼働しなくていいので、最初に汁物をお腹に入れて合図にしてあげると良いです。
内蔵の動きが活発になると消化吸収を良くしてしまい、エネルギーを蓄えやすいのではないかと考える人がいますが、それは間違いです。
内蔵の動きが停滞している時にいきなりガッツリ食べてしまうと、胃腸の動きが悪くなって便秘になったり下痢をしたり、心拍数が上がったりして体調が悪くなり、代謝が落ちてしまいます。
代謝が落ちるとエネルギーの消費効率も下がるので良いことがありません。
酢の物については、お酢に血中の脂肪分や内臓脂肪を減らし、エネルギーを消費する代謝アップの効果があるとされているので、最初に摂取しておくと、そのような効果が期待できます。
②サラダ
サラダといっても、オイリーすぎるドレッシングやチキンサラダ、クルトンたっぷりでは意味がありません。
要するに野菜やキノコ、海藻を食べましょうということです。
これらに含まれる食物繊維が糖の消化と吸収を遅くする作用があるため、急激な血糖値の上昇をおさえ、インスリンの過剰分泌を回避することができます。
③メイン
肉や魚といったメイン料理を食べます。
脂質とタンパク質は糖(米やパンなどのでんぷん系)よりも消化や吸収が遅いので、急激な血糖値の上昇を抑制するならこの順番がベストです。
コース料理もこの順番で出てくるので、家でも同じことをすればいいだけです。
④炭水化物
締めは炭水化物。
米、パン、パスタなどは最後に食べましょう。
とはいえ「おかずも無いのにご飯って!」というのも、もっともですから、とりあえず全部この順番で食べきらなくても最初に汁物を一口飲んで体をあたため、サラダを食べておくという順番だけは守りましょう。
2:ゆっくり食べること
早食いはデブの元です。
たとえ順番通りに食べたとしても、早食いだとお腹の中が何を順番に食べたかわからないくらい一緒くたに流し込まれているのと変わらないので、結局インスリンが過剰分泌されたり血糖値が高くなったりします。
何時間もかけて食べろとまではいいませんが、できるだけゆっくり食べましょう。
また、ゆっくり食べることで「食事をしている」ということを脳に認識させるというのもポイントです。
落ち着いて食べたものほど満足度が高くなるので、間食したくなる気持ちを抑えられます。
満腹中枢が刺激されるのも食事の開始から20分くらい必要なので、20分以内に食べ終わってしまうと「もっと食べたい」という欲求が出てしまいます。
フードファイターがガンガン食べて、少しの休憩もしない理由がこれです。
休憩でもしようものなら途端に満腹感が出て限界になってしまい勝てなくなります。
3:よく噛んで食べる
一口30回噛むのがベストとよく言われています。
普段全然噛まずに飲んでいる人だとかなり顎が疲れると思いますが、そのことに意味があります。
疲れるということは、それだけ顔の筋肉が衰えているということなので、顔太り、たるみやすい状態になっているため、よく噛んで筋肉を鍛えましょう。
また、よく噛むことで満腹中枢が刺激されますし、ゆっくり食べることにも繋がるのでたくさんのメリットがあります。
やらないのは損です。
4:食べるタイミング
1日3食の人もいれば、2食、1食の人もいるでしょう。
食べる総量が一緒なら摂取カロリーは変わりませんが、補うようにドカ食いしてしまうなら3食もまめに食べるようにしましょう。
体内時計や消化吸収のサイクルが狂っていなければ、最初の食事から大体4~5時間くらいで空腹を感じるので、お腹が空いたら食べれば良いです。
ただし、一回の食事で満腹中枢が刺激されていない場合はやたらと空腹を感じるので参考になりません。
よく噛んでゆっくり食べた時の時間を参考にしましょう。
間食はNGです。
また、脂肪合成を促すB-MAL1というホルモンについて考慮する必要があります。
このホルモンは朝から低下していき14時から16時の間に最も下がり、それ以降は上昇するというサイクルが多いので、脂肪の過剰合成を回避するためには14時以降に食べるタイミングが2回来ないようにしましょう。
また、寝る前4時間は何も食べない方が良いです。
お酒もそうなのですが、消化、吸収、分解をしている間は内臓が休まらず、体温が高くなります。
寝るときは内臓も休ませる時間なので本来体温が下がるはずなのに、寝る直前に食べたりお酒を飲んだりするとそれらを処理しなければならず、内臓が稼働状態のまま床につくので寝つけません。
睡眠不足や睡眠の質の低下は体調不良を引き起こすので代謝が下がります。
血糖値が下がりやすい17時
体は時計通りに動いているわけではないので17時と限定するのは早合点が過ぎますが、昼を12時から13時で摂る人がこれに当てはまります。
朝の9時から仕事をして12時か13時にランチというサイクルなら概ね17時が夕食のベストタイミングです。
食べる順に気を付けていても食後は血糖値は多少上がっています。
その後段々と下がっていき、3~4時間後に空腹時の血糖値に戻ります。
そのため、ランチから3~4時間後の17時が血糖値を上げ過ぎないベストタイミングということです。
つまり、朝ごはんが10時、昼ごはんが14時なら夜ご飯は18時ですし、昼ごはんが15時になってしまったら夜ご飯も19時です。
ただし、この時間は「それ以降であればOKです」体が飢餓状態になるまで放っておかなければいいので、負担をかけない6時間置きの食事が良いという説もあります。
この場合、朝ごはんが7時ならお昼は13時、夜は19時です。
5:食べるメニュー
あくまで「お腹いっぱい食べるなら」の朝昼晩それぞれのメニューです。
いずれも活動に必要な量しか食べなければ何を食べても構いません。
朝昼晩それぞれのメニューの違いは、胃で消化するまでにかかる時間がポイントとなります。
それでは具体的に見ていきましょう。
朝:ごはんやパン
朝は、夜の内に低血糖になっているので目覚めの意味を兼ねてすばやくエネルギーになり血糖値を上げられる、ごはんやパンを食べましょう。
炭水化物は食べてから2~4時間程度で胃の消化が終わるので、朝8時頃に食べれば11時頃にはお腹が空き、12時の昼ごはんもしっかり空腹状態のお腹に収めることができます。
ちなみに、炭水化物は油と一緒に摂ると糖質の吸収をほどよく制限するそうなので、朝から大量に食べる人はあえてパンにバターを塗るのも良いです。
昼:肉や魚、脂っこいもの
肉や魚といったタンパク質は胃で消化するのに4~6時間かかります。
わりと長い時間が必要なので、夜にガッツリ食べるのはおすすめできません。
しかし、体を維持するためにタンパク質は欠かせませんから、いっぱい食べるなら昼にしましょう。
ただし、ご飯によく合う肉や魚料理だと同時にご飯もモリモリ食べてしまうので太ります。
どうしても食べたいときでも少なめにするのが肝心です。
夜:野菜中心
野菜は胃での消化が1~2時間なので、寝る前の時間を考えても夜に食べるのが最適です。
日中にとれていない栄養素の補給もできますし、野菜ならたっぷり食べても罪悪感がありません。
お腹いっぱい食べても太りにくい食べ物
太りすぎているなら食事の内容をとりあえず一新し、無駄についた脂肪を消費することが必要です。
とはいえ、糖質制限や脂質一切無し、炭水化物抜きダイエットなどは必要な栄養すら足りないことになる恐れがあるので、一般的な食事の量+αでお腹いっぱいにしたい時に便利な食べ物を紹介します。
食物繊維
先述したように、食物繊維は急激な血糖値の上昇を抑えるのでたくさん食べてもOKです。
食物繊維の理想的な摂取量は1日あたり24gで、食物繊維を持つ食材の代表的存在であるゴボウは100gあたり5.7gの食物繊維をもっています。
1本が大体150gなので1本食べつくしても1日の基準量を満たしていないので、思っているより多く食べても問題ありません。
食物繊維を摂取したいときに気を付けるべきことは、水溶性と不溶性の違いがあるという点です。
水溶性はネバネバかサラサラの食感で、お腹が空きづらくなり、血糖値の急激な上昇を抑えたり、コレステロールと吸着して体外に排泄を促します。
また、腸内のビフィズス菌を増やすため腸内環境が良くなります。
一方、不溶性はザラザラした感じで、保水力が高い食物繊維です。
胃や腸でふくらみ、便通をよくします。
こちらもビフィズス菌を増やしますが、水溶性ほどではありません。